舌下免疫療法とは
舌下免疫療法とは、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から体に投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。
アレルゲン免疫療法または減感作療法と呼ばれることもあります。
アレルギー性鼻炎の治療法の一つとして、子どもでも受けられる治療ということで、近年増える子どもの花粉症の対策として注目されております。
ただし、現在対応できるアレルギーは「ダニ」と「スギ花粉」のみです。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎の治療法
アレルギー性鼻炎の治療法はいくつかありますが、舌下免疫療法は他の治療法が症状の軽減に着目しているのに対し、舌下免疫療法を含むアレルゲン免疫療法は、体質を根本から変え、アレルギー反応を起こさない体にしようとしている点が明確に異なります。
また、同じアレルゲン免疫療法でも皮下免疫療法は注射器を使用することから、痛みがある・病院でしか治療ができないなど、ハードルが高かったのですが、舌下免疫療法はそれらの障害を取り除くことに成功しました。
アレルギー性鼻炎の治療法
治療法 | 特徴 | 効果 | ||
対症療法 | 薬物療法 | 初期療法 | 花粉飛散前に薬を使い、花粉飛散期の症状を軽くする治療法。 | ①症状出現を遅らせる。 ②飛散量の多い時期の症状軽減。 ③併用する薬の量や回数の減少。 |
導入療法 維持療法 |
薬で症状を軽減。 花粉症の大半の方が、この治療法をとる。 |
症状を軽減できる。 ただし、眠気などの副作用が出る場合がある。 |
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手術療法 | レーザー治療 | 出力の弱いレーザーを鼻粘膜に照射し、粘膜の腫れ・むくみを除去。 花粉に過敏にならないようにする治療法。 |
症状に大幅な改善が見込める。ただし、薬の効果同様、レーザー治療も効果や持続期間に個人差がある。 時間経過で元に戻るため、1~2年毎に受ける必要あり。 |
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根治療法 | 原因抗原の回避 | 日常生活において、アレルギーを起こす物質から回避する。 | こまめに実行することで症状を非常に軽くすることが可能。 ただし、日常生活で意識する必要があり、徹底が難しい。 |
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アレルゲン 免疫療法 |
皮下免疫療法 | 花粉に対して免疫をつける治療法。他の治療法と異なり、根本的に治癒が期待できる治療法です。 | 体質の改善により、症状がなくなることもある。ただし、治療継続期間は長く、副作用を引き起こす可能性も0ではない。 | |
舌下免疫療法 |
舌下免疫療法のメリット・デメリット
舌下免疫療法をおすすめする方
- 治療期間が長期にわたっても、治癒(スギ・ダニに対するアレルギー体質がなくなる)を望んでいる方
- 飲み薬やスプレーをしても、症状が軽くならない方
- 飲み薬で、眠気などの副作用がひどい方
- レーザー治療に抵抗がある方
- レーザー治療を行っても、症状の軽減を感じない方
舌下免疫療法のメリット
- 長期的には体質改善し、花粉症の症状が改善される
※臨床実験では、「症状が軽くなった」と答えた方が約50%、「症状が出なくなった」と答えた方が約20%でした。 - 注射などの痛みを伴わない治療
- 花粉症時期のQOL(Quolity of Life : 生活の質)が上がる
- 5歳以上であれば、子どもでも治療を受けられる
舌下免疫療法のデメリット
- 長期間の服用が必要になる
- 全員に効果が必ず出る治療ではない
- ( シダキュアのみ )花粉の飛散していない時期からでないと始められない
- 一部副作用がある
< 軽度の副作用 >
- 口の中やのどのかゆみ
- くしゃみ・鼻水・鼻づまり
- 口内炎
- 頭痛・咳
- 耳、鼻、目、皮膚のかゆみ
- 舌の下のはれ
- 口の中のはれ
- 耳やのどや違和感
※およそ50人に1人未満の確率で起きると言われています。
< 重度の副作用 >
- アナフィラキシーショック
現時点で、「シダキュア」「ミティキュア」を服用して、アナフィラキシーショックが
起こったという報告はありません。しかし、将来的にもないとは断言できません。
舌下免疫療法のスケジュール
< シダキュア >
※1日1回 1錠
耳鼻咽喉科で受診 | 次の日~7日目 | 8日目以降 |
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当日、初回の服用 | こちらの薬を服用![]() |
こちらの薬を服用![]() |
< ミティキュア >
※1日1回 1錠
耳鼻咽喉科で受診 | 次の日~7日目 | 8日目以降 |
---|---|---|
当日、初回の服用 | こちらの薬を服用![]() |
こちらの薬を服用![]() |
舌下免疫療法の始め方
まず、当院で診察を受けていただきます。
検査や問診から、アレルゲン免疫療法の対象に該当する患者さんであれば、舌下免疫療法の詳しい説明をさせていただき、ご同意をいただいた上で治療を開始いたします。
医師の指導の下、まず初回のお薬を服用していただきます。
その後、30分ほど院内にいていただき、副作用が特に見当たらなければ、そのままお帰りいただけます。
その後は定期的に通院していただき、症状や副作用を見ながら治療を継続していきます。
わからないことがあれば、お気軽にスタッフ・医師にお申し出ください。
舌下免疫療法の注意点
※以下の方は、舌下免疫療法を受けることができません。※
① スギ・ダニ以外のアレルギー性鼻炎の方(採血検査でスギ花粉症かダニアレルギーかを確認します。)
② 5歳未満の方
③ 重度の気管支喘息の方
④ 悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方
⑤ その他、医師が患者さんに舌下免疫療法を適しないと判断した場合
※以下の方は、治療を受けるにあたって注意が必要です※
① アレルゲンを使った治療や検査、またはスギ花粉を含んだ食べ物によってアレルギー症状を起こしたことがある方
② 妊娠中、妊娠予定、授乳中の方
③ 抜歯や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
④ 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
⑤ 他に服用4E2Dのお薬がある方( 非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシターゼ阻害薬 )
⑥ ステロイドの内服薬や注射薬の投与を受けている方
⑦ 気管支喘息の方
⑧ 65歳以上の高齢の方( 十分に治療の効果が出ない可能性があります。 )